2016-2017シーズンの後半から3バックと4バックを併用し、時には試合中にフォーメーションを変更することもあるアーセナルにおいて重要なキーマンとなっているのがスペイン代表のナチョ・モンレアルです。
モンレアルはディフェンスに関する複数のポジションを精度高くこなせるためフォーメーションの急な変更も可能で状況に合わせた柔軟な戦術選択を可能にしていますよね。
今回はそんなナチョ・モンレアルのプロフィールやプレースタイルを見ていきたいと思います。
ナチョ・モンレアルのプロフィール
名前ーイグナシオ・モンレアル・エラソ(Ignacio Monreal Eraso)
国籍ースペイン
出身地ーパンプローナ
生年月日ー1986年2月26日
身長ー178cm
体重ー72kg
ポジションーDF
利き足ー左足
ナチョ・モンレアルはスペインのパンプローナという街の出身で、サッカーキャリアのスタートも地元の名門オサスナから始まりました。
モンレアルはオサスナでは2006年に若くしてトップチームデビューを果たし翌年からスターティングメンバーに定着、オサスナのトップチームではおよそ5シーズンに渡り主力として活躍します。
2011-2012シーズンにはオーナーが変わって躍進を目指すマラガCFに移籍し、ここでもスタメンに名を連ね、結果4位でシーズンをフィニッシュ。クラブ史上初となる欧州チャンピオンズリーグ出場権獲得に貢献するなど力を見せつけます。
しかしマラガの財政状況は徐々に悪化の一途を辿っていたため複数の選手が放出される事が増えてきていました。(カソルラ→アーセナル、イスコ→レアル・マドリードなど)
モンレアルもその流れには抗えず、2012-2013シーズンからイングランドプレミアリーグのアーセナルFCに放出されることになってしまいます。
アーセナルでは当初イングランドというスペインとは全く違う守備文化に戸惑いを見せていたものの、翌年から徐々に出場機会を増やすと2年目からすっかり主力の一人として定着しています。
スペイン代表ではU-19世代の頃から招集されており、2009年にA代表デビューも飾っていますね。
・リーガでは若い頃から主力の座を掴む
・マラガにクラブ史上初のCL権をもたらす
・アーセナルでもすっかり主力に
ナチョ・モンレアルのプレースタイル
欠点がなくテクニックにも長けた万能DF
モンレアルの主なポジションは左足を活かした左サイドバックです。しかしアーセナルでは左や中央のセンターバックもやることがあるなど左寄りのディフェンダーであればユーティリティに仕事をこなせる選手だと言えるでしょう。
モンレアルのプレースタイルは決して派手ではありませんが、非常にミスが少なく弱点も少ないという特徴があります。
基本的にはディフェンダーですが、スペイン人選手であるため足元の技術がとても繊細で柔らかいボールタッチによるマーク外し、後方からのビルドアップパス、前線にドカンと送るフィード、サイドチェンジ、クロスボールなどボールを扱うテクニックに優れています。
アーセナルは(ヴェンゲルは)ショートパスを繋いで攻めるのが伝統的なアイデンティティとして存在しているので後方から前のスペースを計算しつつビルドアップによってゲームをコントロールできるモンレアルのような選手はピッタリですね。
スペイン人らしくインテリジェンスが豊富で柔軟
またモンレアルのプレースタイルではその「サッカーインテリジェンス」も特徴的です。今自分がどこのポジションにいなければいけないかしっかり理解しており、その一歩先に戦術思考を持てる選手でバランスを取る能力が高いですね。
チームが重心を前に置き過ぎているなと思ったら後方のスペースを細かくチェックしてカバーリングができますし、重心が後ろ過ぎる場合はモンレアルが突然前線に飛び出していく事もできます。戦術によって適切なポジションを見分けられる選手だと言えるでしょう。本職はサイドバックなので行ける時にはガンガン行くプレースタイルも持ち合わせています。
こういうモンレアルのインテリジェンスの高さやバランス取りの上手さは同じくスペイン代表のアスピリクエタに似ていますね。スペイン代表では左がモンレアル、右がアスピリクエタでとても戦術的なサイドアタックが可能になっています。二人とも身長は高くありませんが対人守備にも一定のクオリティがあります。
アスピリクエタのプレースタイルはこちらも参考に→スペイン代表アスピリクエタのプレースタイルは?ポジショニングセンスが世界最高峰
そしてモンレアルのこのインテリジェンスの高さはアーセナルの戦術幅を広げる重要なピースです。冒頭でも記載しましたが、2016ー2017シーズンの後半からアーセナルは3バックと4バックを併用しています。スタートポジションは3バックが多いですが、もうちょっとオーソドックスにサッカーがしたいとヴェンゲルが感じた時には試合中に昔なじみの4バックに変更することもありますね。
ここで重要なのがモンレアルです。3バックの場合モンレアルは左サイドのストッパーに入る事が多いですが、4バックにする際でも左に少しポジションをずらすだけなので簡単です。
例えば3バックが左からモンレアル、ムスタフィ、コシェルニーの並びであればモンレアルを左に移して右サイドウイングバックにいる(であろう)ベジェリンを右サイドバックに下げるだけであっという間に4バックです。モンレアルが4バックのセンターに入るパターンなら3センターの誰かを変えて左サイドの誰か(コラシナツとか)をサイドバックに下げれば切り替えながら戦えますね。
ムスタフィのプレースタイルはこちらも参考に→ドイツ代表ムスタフィのプレースタイルは?アーセナルの守備を支えるアタック系DF
ベジェリンのプレースタイルはこちら→アーセナルDFベジェリンのプレースタイルは?ボルト超えのスピード?
モンレアル自信のインテリジェンスも素晴らしいため急なフォーメーション変更でも違和感ゼロで試合を続行できます。この戦術幅が取れるのは攻撃的なアーセナルでは非常に重要だと言えるでしょう。
近年プレミアで流行している3バックのストッパーは守備だけではなくもはや旧時代のサイドバックと言ってもいいくらい柔軟な戦術判断と攻撃能力が求められます。そういう意味では今後モンレアルのようなプレースタイルを持ったディフェンダーは増えていくでしょうね。
・DFながらクロスボールやビルドアップなどボール扱いが上手い
・戦況に応じて柔軟にポジショニングができるインテリジェンス
・アーセナルの特徴、3バック→4バックも楽々こなす