イタリアという国はスコア1-0で勝利する「ウノ・ゼロ」が一つの美学であった様に伝統的に守備戦術が発展していると言われています。
しかし偉大なる芸術家アンドレア・ピルロを筆頭にマルコ・ヴェラッティなど優秀なゲームメイカーが登場するお国柄でもありますよね。
そんなイタリアで今注目されているゲームメイカーが2018-2019シーズンからチェルシーに移籍するジョルジーニョという選手。
今回は将来的に世界を代表する司令塔になるかもしれないジョルジーニョのプロフィールやプレースタイルを見ていきたいと思います。
ジョルジーニョのプロフィール
名前ージョルジ・ルイス・フレーロ・フィーリョ(Jorge Luiz Frello Filho)
国籍ーイタリア・ブラジル(代表はイタリア)
出身地ーインビトゥーバ
生年月日ー1991年12月20日
身長ー180cm
体重ー65kg
ポジションーMF
利き足ー右足
ジョルジーニョ、本名ジョルジ・ルイス・フレーロ・フィーリョは登録名の通りブラジルで生まれた選手であり、15歳の頃にイタリアに移住して国籍を取得しているため2重国籍となっています。
サッカーキャリアのスタートはヴェローナにあるエラス・ヴェローナの下部組織から。
初年度は当時セリエCだったサンボニファチェゼというクラブにローン移籍して経験を積み、2011-2012シーズンからセリエBを戦うエラスに戻ってプレーをしていました。
そしてセリエAに昇格して臨んだ2013-2014シーズン途中からナポリにステップアップしています。
ナポリではシーズン途中での加入ながら初年度から主力に定着し、複数のビッグクラブから関心を持たれていましたね。
結果2018-2019シーズンから恩師サッリに引き連れられてチェルシーFCに移籍が決定しました。イタリア国外でプレーするのは自身初となります。
またジョルジーニョは上記の通りブラジルとイタリアという2つの国籍を所有していますが、代表はイタリア代表を選択していますね。
・ブラジル生まれ
・サッリナポリでは欠かせない存在に
・チェルシー移籍で国外挑戦
ジョルジーニョのプレースタイルは?
現代的なピルロ!?
ジョルジーニョの主なポジションはセンターハーフ、アンカーと呼ばれるミッドフィルダーの最後列でプレーすることがほとんどです。
ジョルジーニョのプレースタイルではやはり真っ先にパス関連のスキルに触れなくてはならないでしょう。
このサイトでナポリの選手に触れる時には何度も書いていますが、元銀行家のマウリツィオ・サッリ体制下のナポリは欧州一とも言われる華麗なパスサッカーで好成績を残しています。
となると当然重要になるのが、ピッチの中央下がり目で長短のパスを捌いて試合をコントロールし、適宜楔を入れてチャンスメイクするゲームメイカーです。
ジョルジーニョはパス精度はもちろんのこと、視野の広さ、スペースを見つけるセンス、ロンドのセンス、サッカーIQなど司令塔に必要なセンスを全て兼ね備えており、ナポリサッカーの体現者となっていますね。
左右にパスを散らし、最適なスペースとタイミングを見つけては縦パスを通す事からあのレジェンドプレーヤー、ピルロのようなレジスタと言われることが多いですが、ジョルジーニョはピルロとは少し異なるプレースタイルを持ったゲームメイカーでもあります。
というのもジョルジーニョはピルロと比較するとわりと機敏に動けるタイプであり、ボールを持っていない時も細かく動き直してボールホルダーにパスコースを作る動きも多く、動き回ってパスを捌く、いわゆるプレーメイカーのように振る舞う事も可能になっているからです。
そのあたりは現代的な司令塔だと思いますね。
スタッツを通して見てもジョルジーニョのパスセンスの凄さは伝わってきます。
2016ー2017シーズンのセリエAでは1試合ごと平均のパス数が98本、2017-2018シーズンも96.9本と欧州5大リーグ全体で見てもかなりエライ数字。
パスを捌く能力は欧州随一と言ってもいいでしょう。
パス成功率の平均は90%前後で断然トップとはいきませんが(それでもかなり高い数字だが)ジョルジーニョはチャンスになるかどうかの中距離パスにもトライできる選手ですのでそのあたりは仕方ないと思います。
いずれにしてもパスで試合をオーガナイズする能力は現役屈指ですね。
データ参照元:「who scored」
戦術的な守備は得意
さてジョルジーニョは恩師サッリが監督に就任したチェルシーに移籍することが決まりましたが、プレミアリーグのセンターポジションで重要な守備に関する能力はどうなっているのでしょうか。
ジョルジーニョのようなゲームメイカータイプのミッドフィルダーには常に「守備ができない」という偏見が付きまとう事が多いですよね。
しかしジョルジーニョはフィジカルコンタクトにはあまり強くないものの、バルセロナのブスケツのように中盤の底で先の展開を読み、早めに到達点を予測してボールを回収するような守備は得意です。
ブスケツのプレースタイルはこちらも参考に→スペイン代表ブスケツのプロフィールは?バルセロナ中盤を制圧するピボーテ
上記のデータサイトによれば2017ー2018の1試合平均インターセプト数は1.5回、タックル数は1.9回と悪くない数字を残しています。
そりゃ単独で例えばルカクのような選手を止めろと言われれば難しいでしょうが、フォーメーションに埋め込まれたこと前提の機能的アンカー守備はプレミアリーグでも十分に通用するレベルだと言えるでしょう。慣れるのに時間は必要だと思いますけどね。
さらに言えばチェルシーには稀代のボールハンターであるエンゴロ・カンテがいるのでおそらくある程度彼がフォローしてくれるだろうという見方もできます。そういう意味ではチェルシーにとっても、ジョルジーニョにとってもむしろプレーバランスはよくなるかもしれません。
カンテのプレースタイルはこちらも参考に→「どこにでもいる」フランス代表カンテのプレースタイルと性格
チェルシーは同じイタリア人監督でもウイングバック式の3バックを使うコンテからポゼッションを重視するサッリという全くタイプの異なる戦術家に指揮官が交代します。
上記の通りセリエAではトップクラスの司令塔として活躍していたジョルジーニョはプレミアリーグに旋風を起こせるでしょうか?
まずプレミア特有の脳筋プレスと笛の甘さに耐えられるかが重要ですが(サッリも含めて笑)、マンチェスター・シティが隆盛を極めていますしもしサッリの戦術とジョルジーニョがパーフェクトに機能するようであればプレミアリーグの流行が変わる可能性もあるのではないでしょうか。
個人的にジョルジーニョにはその資格と才能があると思っています。
・欧州トップクラスの司令塔
・動き回ることもできる
・戦術的守備は悪くない