怖いオーバートレーニング症候群。内田篤人や大久保嘉人も?

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オーバートレーニング症候群とは?引退の可能性も

厳しいトレーニングをし、試合でもケガをすることの多いアスリート。

肉体的なケガであれば原因も分かりやすいですし、治療方法も確立されています。

しかしそんな強いアスリートにはケガだけでなく、選手生命を脅かしかねない病気に罹ってしまう可能性があります。

その恐ろしい病気とは「オーバートレーニング症候群」。慢性的な疲労からくる倦怠感、精神的な落ち込み、吐き気など様々な症状があり、見つけるのが容易ではないため症状に気付いた時には手遅れという状況もあり、「アスリートのうつ病」としても知られています。

原因も多種多様ですが、一般的には高負荷のトレーニングをやり過ぎている状態でその疲労が回復しないままトレーニングや試合を続けていると、ホルモンや神経伝達物質セロトニンのバランスが崩れ、うつ病のように頭が働かなくなったり体の免疫系が崩れるなどの症状を引き起こします。

症状があまりにも長引くと復帰にも時間が掛かり、引退してしまう選手もいるそうです。

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オーバートレーニング症候群に罹ったアスリート

大久保嘉人

現在FC東京に在籍する日本のトップストライカー大久保嘉人選手は2010年に南アフリカW杯でスタメンに入り、凄まじい運動量で日本のベスト16入りに貢献しました。

しかしそれで燃え尽きてしまった大久保選手は極端に成績が落ちてしまいます。それだけなら一時の不調かもしれませんが、負けず嫌いで有名な大久保選手がやがてサッカーどころかジョギングもできなくなり、練習に行っても何もできずにそのまま帰ってくるということが続きます。

明らかにおかしいと感じたクラブの薦めもあって大久保選手は病院に行きますが、そこで下された診断は「オーバートレーニング症候群」。診断を受けてクラブは大久保選手にすぐに練習を休むように指示、「またサッカーがやりたくなったら戻ってきて」と声を掛けます。

自分でも心のリフレッシュが必要だと感じた大久保選手は奥さんの母が住む長崎県、五島列島の携帯電話の電波も届かないような小さな島に出向き、毎日釣りをしたりして過ごしていました。

やがて体調は元に戻り、父が亡くなったこともあって大久保選手は再び奮起してサッカーの世界に戻ってきます。

そして2013年から3年連続でJ1得点王に輝き、2014年ブラジルW杯日本代表に選ばれるなど33歳になった今でもJリーグ屈指の選手として活躍を続けています。

内田篤人

ブンデスリーガのシャルケに所属する内田篤人選手もオーバートレーニング症候群の疑いが見られた時期があります。

内田選手は16歳の高校生だったときから年代別の日本代表に選ばれ、鹿島アントラーズに入団したころにはユース代表やオリンピック代表やA代表、鹿島の一員としてACL、Jリーグ、カップ戦と1年中ほとんど休みがないままサイドバックとして走り回っていました。

しかし2009年ころから試合中に吐き気を催し始め、試合中に吐きながらプレーしていたこともあります。2010年の南アフリカW杯に日本代表として選ばれるも症状は悪化の一途。それが原因かは分かりませんが岡田武史監督からスタメンを外され、内田選手は南アフリカのピッチを踏むことはなかったのです。

はっきり「オーバートレーニング症候群」であったと公表はされてないですが、この時の内田選手に慢性的な疲労がたまっていたのは間違いないでしょう。

その後、同じくサイドバックの長友選手に「ガムを嚙むといいんじゃないか」と言われ、そのおかげで治ったと言われていましたが実際は治ってなく、吐き気について尋ねられるのが嫌だから嘘をついていたと内田選手が公言しています。

これは個人的な予想ですが、内田選手がその後シャルケでチャンピオンズリーグでスタメンとしてベスト8入りを果たし、シャルケに欠かせない選手となるまでに回復したのはおそらく「環境の変化」だったのではないでしょうか。

日本代表として幼いころからプレッシャーを浴び続けていた環境から文化も言葉も知らないドイツという全く知らない環境に移り、レベルの高いサッカーに触れることで神経が刺激され、ポジティブなメンタルと体が戻ってきたのだと思いますね。

事実、当時のシャルケの監督はフェリックス・マガトという地獄のようなトレーニング量を選手に課すことで有名な監督でしたが、内田選手は吐き気のような症状を見せることはありませんでした。

権田修一

FC東京生え抜きとして活躍していた元日本代表ゴールキーパー権田修一選手もオーバートレーニング症候群に悩まされているアスリートの一人です。

2015年のJリーグベガルタ仙台戦後、体調不良を訴えて検査を受けた権田選手に下された診断はオーバートレーニング症候群。

メンタルバランスを崩した権田選手はシーズンが終わるまで休養することになりました。そしてこのままでは治らないと判断したFC東京によってオーストリアのクラブチーム、SVホルンに移籍します。

クラブ側としては環境を変えることでなんとか快方に向かって欲しいという判断だったと思いますね。しかもこのSVホルンは日本代表の本田圭佑選手がオーナーを務めていることでも知られていますし、融通は効きやすかったでしょう。

違う環境でゆっくりと静養し、再びサッカーへの気持ちを取り戻した権田選手は2017年にサガン鳥栖に移籍して復調を狙っています。

権田選手本人も「当時はメンタルのバランスがおかしかった」と語っています。

生真面目で一生懸命な人が罹りやすいオーバートレーニング症候群

サッカー選手3人の症状を紹介しましたが、やはり走り回って高負荷が掛かりやすいスポーツ選手がこのオーバートレーニング症候群に罹ることが多いそうです。海外ではマラソン選手やボディビルダーの人の症例も数多く存在します。

共通しているのは真面目で一生懸命に競技に打ち込んでいること。自分のトレーニングや成績に納得できない人がそれを改善しようとトレーニング量を増やしたり、過度なプレッシャーを感じてしまうと気付きにくい慢性疲労がたまって悪循環に陥る可能性があります。

何もアスリートだけではなく、普段から自分を追い込んでいるようなサラリーマンの人でも罹ってしまう恐れがあるのです。

貧血や心臓病、うつ病など他の様々な体調不良と症状が似ているため、自分で疑わしいと感じた人は専門の医師に相談することをおすすめします。