サッカーファンのみならずともアンドレス・イニエスタの名前は聞いたことがあると思います。
スペイン代表及びバルセロナで絶対的な存在感を誇るミッドフィルダーであり、「フットボールとはイニエスタのことである」という格言が存在するほどです。現役選手の中では最高峰の存在だと言えるでしょう。
ではこのイニエスタの凄さはどこにあるのでしょうか?実はイニエスタの動きには現代サッカーにおいて欠かせない重要なプレーが見られるのです。
この記事ではそんなイニエスタのプロフィールやプレースタイルを紹介したいと思います。
アンドレス・イニエスタのプロフィール
名前ーアンドレス・イニエスタ・ルハン(Andrés Iniesta Luján)
国籍ースペイン
出身地ーフエンテアルビージャ
生年月日ー1984年5月11日
身長ー171cm
体重ー68kg
ポジションーMF、FW
利き足ー右足
アンドレス・イニエスタのサッカーキャリアは地元近くにあるクラブ、アルバセテ・バロンピエからスタートします。
幼い頃から卓越したボールテクニックを見せていたイニエスタは1996年、バルセロナの下部組織に入団することになります。
カンテラでも順調にステップアップを果たしたイニエスタは2002年、トップチームデビューを果たし、以後バルセロナに欠かせない象徴としてプレーし続けています。現在の背番号は「8」です。
なお、2017年にイニエスタとバルセロナの間で生涯契約を結んだことが報じられましたが、中国行きやアメリカ行きの噂も出ており、イニエスタ本人も「キャリアで最も重要な決断」として2018年4月中に去就を決めると言っています。
※2018年5月追記 なんとJリーグのヴィッセル神戸に移籍する事が決定しました!
・バルセロナカンテラ育ち
・バルセロナの象徴的存在に
・ヴィッセル神戸に移籍
アンドレス・イニエスタのプレースタイルは?
技術は言うまでもなく高い
イニエスタはこれまでのキャリアにおいて様々なポジションでプレーしてきました。
守備的ミッドフィルダーやトップ下、ウイングフォワードなどあらゆるポジションで高いクオリティを見せることができますが現在はインサイドハーフ、スペインで「インテリオール」と呼ばれているポジションでプレーすることが多いですね。
イニエスタのプレースタイルで特徴的なのは「卓越したドリブルのスキル」、「華麗かつTPOをわきまえたパスセンス」がよく言われる特徴です。
しかしイニエスタのプレースタイルにおいて最も特徴的なのは「空間を操作してスペースを創り出す間受けのセンス」につきます。
それでは一つずつ見ていきましょう。
まずドリブルについてですが、イニエスタはネイマールらのように派手なフェイントを駆使したドリブルはほとんど行いません。
他のプレーにも共通することですが、イニエスタは基本的に無駄なプレーは一切しない人なのでドリブルのタッチも必要最小限かつ最効率で行います。
タッチが非常に柔らかく、俊敏性にも優れているためボールごと相手を引き付け、相手の重心と逆にちょっとボールを出すだけでマークを振り切ることができます。
基本的に相手のマークを引き付けてボールを前に運ぶドリブルがメインですが、状況が状況なら4、5人抜いて一気にゴールに迫ることもできますね。イニエスタのドリブルはシンプルなため見ているとなんだか簡単そうに見えますが、そこはイニエスタの超絶技巧によって簡単に見せらているだけです。実際には非常に繊細なボールタッチをしています。
さらにイニエスタはパスのセンスも抜群です。バルセロナのカンテラ育ちなので正確性が高いのは当然なのですが、ロングボールや長い距離のスルーパスなどありとあらゆるパスが得意で、時と場所と場合によってそれらを使い分けています。
状況判断の速さやインテリジェンスも優れたミッドフィルダーとしてトップクラスのクオリティを持っていると言えますね。
ピッチ上にスペースを「創り出せる」
しかしイニエスタほどではないにせよ技術の高いミッドフィルダーは世界中にたくさん(たくさんはいないかも)います。その中でイニエスタが特別な存在とファン、選手、監督らに絶賛されるのは彼にしかできないプレーがあるからです。
イニエスタが唯一無二の存在である理由は「空間の使い方の巧さ」に他なりません。
イニエスタはピッチ上に存在する「空間」つまりスペースを常に意識しており、自分のプレースペースと味方のプレースペースを増やすよう頭をフル回転させている選手なのです。
特に目立つのは「間受け」の巧さですね。
サッカーにおいて間受けとはその語感の通り相手のブロックの隙間やラインの隙間といった選手と選手の間に入り込む動きのことを指します。スペインでは「エントレリネアス」と言い、フットサルでよく使われる言葉ですね。
イニエスタはこの動きをタイミングよく90分間繰り返しているのです。
イニエスタが間受けをするとどうなるかと言うと
このようにゾーンで守っている相手の選手たちの注目が一瞬イニエスタに注がれますよね。ゾーンディフェンスだとお互いの担当ゾーンを確認しなければならないのでこの間が生まれるわけです。
時間にすると本当に一瞬ですが、この瞬間が生まれる事によって奇麗な相手の守備ブロックに歪みが生じ、他の選手のプレースペースが作られることになります。
特にイングランド旧式のフラットな4-4-2相手には絶大な威力を発揮しますね。
現代サッカーではゾーンディフェンスが主流なため守備側にとってお互いのゾーンが被るポイントに侵入してくるイニエスタの動きは本当に嫌らしいです。
もちろん言葉で言うほど簡単なプレーではありません。間受け(エントレリネアス)をする際は必然的に狭いスペースでのプレーを余儀なくされるため絶対的なボールコントロールの技術と背中まで見渡すような広い視野、予測能力が必要です。
上記の通りイニエスタには現役ミッドフィルダーとしてトップクラスの技術が備わっているため相手のディフェンダーに囲まれてもあっさりとボールを捌くことができます。
またイニエスタは中央だけでなく時折サイドに流れてウインガーのような振る舞いをすることもありますよね。
これも間受けのように相手の守備ブロックを乱すテクニックの一つで、サイドに開くことにより相手の守備ブロックを横に伸ばして別の選手が間受けするスペースを創り出しているのです。
このスペースにメッシやスアレスが降りてきてチャンスメイクに絡むこともありますね。
スアレスのプレースタイルはこちらも参考に→ウルグアイ代表スアレスのプレースタイルは?ゴールだけではないその凄さとは?
日本代表がアジアの他の国と試合する際など特に顕著ですが、ポゼッションを高めていても相手チームが極端なリトリート守備をしてくると中々そこを突破するのは難しいですよね。
しかしバルセロナは堅牢なブロック守備を敷いてくるチーム相手にも大量得点で勝つ試合が多いです。そこにはこのイニエスタによる自チーム、そして相手チームの「空間を操作」するサッカー頭脳による所が大きいでしょう。
イニエスタの後継者としてはラキティッチやセルジ・ロベルトが挙げられますが、イニエスタの域に達するにはまだまだ長い時間が掛かるでしょうね。
ラキティッチのプレースタイルはこちらも参考に→クロアチア代表ラキティッチのプレースタイルは?バルセロナ攻守の要
セルジのプレースタイルはこちら→スペイン代表セルジ・ロベルトのプレースタイルは?バルセロナらしい知性を持つ万能選手
バルセロナファンである森山直太朗氏は「そしてイニエスタ」という曲を発表しています。その曲タイトルの通り、バルセロナの華麗なサッカーにおいて最重要なのはメッシでもスアレスでもなくこのイニエスタだと思いますね。
現在イニエスタには中国移籍やアメリカ移籍の噂があります。できればバルセロナでキャリアを終えて欲しいというのが本音ではありますがどうなりますでしょうか。
またロシアワールドカップがイニエスタにとって最後の代表戦になると思うのでそちらにも注目していきたいですね。
※2018年5月追記 バルセロナと同じ楽天をスポンサーを持つヴィッセル神戸に移籍が決定しましたね。日本に来るのは意外でしたが、身長の小さいイニエスタのインテリジェンスとプレースタイルは日本人選手にとって大いに参考になるはずです。プレーを見るのが楽しみですね。
・ドリブルとパスの技術は世界トップクラス
・「間受け」を繰り返してスペースを創造
・バルセロナで最も重要な選手