2016年にドルトムントから王者バイエルン・ミュンヘンに移籍して現在では世界最高峰のセンターバックという評価を受ける事もあるドイツ代表のマッツ・フンメルス。
センターバックらしからぬ足元の技術の高さでバイエルン及びドイツ代表の攻撃力を支える存在となっています。
フンメルスが他のセンターバックと比べて「異能」と呼ばれる所以はその正確なキックにありますが、具体的にどういうプレースタイルを持っているのでしょうか?
今回は現代サッカーにおいて世界最高峰のディフェンダー、フンメルスのプロフィールやプレースタイルに迫りたいと思います。
マッツ・フンメルスのプロフィール
名前ーマッツ・ユリアン・フンメルス(Mats Julian Hummels)
国籍ードイツ
出身地ーベルギッシュ・グラートバッハ
生年月日ー1988年12月16日
身長ー191cm
体重ー92kg
ポジションーDF
利き足ー右足
フンメルスはドルトムントやシャルケのゲルゼンキルヘンなど強豪がひしめくサッカー熱の高い地域ドイツのノルトライン=ヴェストファーレン州にあるベルギッシュ・グラートバッハという街で生まれました。
6歳の頃にスポーツコーチを務めている父親がバイエルン・ミュンヘンの下部組織のコーチに就任することが決まり、ミュンヘンに引っ越し、フンメルスのサッカーキャリアもバイエルン・ミュンヘンのユースからスタートします。
バイエルンでは2007年にトップチーム昇格を果たしますが、層の厚さによりこの時は出場機会が1試合だけで終わってしまいます。
出番を求めたフンメルスは2008年にボルシア・ドルトムントにレンタル移籍、ここでは19歳にも関わらずスタメンに定着し、後に完全移籍することになりましたね。
その後、2015-2016シーズンまでドルトムントの絶対的な守備の要としてブンデスリーガ優勝など貢献しますが、「もっとタイトルを獲得したい」というフンメルスの強い意志により2016-2017シーズンから幼少時代を過ごした王者バイエルン・ミュンヘンに復帰しています。
当然ドルトムントサポーターは「裏切者」とフンメルスを強く中傷しましたが(今でもだけど)、今回の挑戦ではバイエルンでもスタメンを確保、無くてはならない存在となっています。
ドイツ代表への招集はU-20世代からと他のエース級からすれば比較的遅いですが、こちらもスタメンに定着し2014FIFAワールドカップ優勝など結果を残し続けていますね。
・父親がコーチを務めるバイエルンの下部組織出身
・ドルトムントに移籍してからは絶対的な守備の要に
・ドイツでもW杯優勝など完全に主役
マッツ・フンメルスのプレースタイルは?
ビルドアップパスのセンスと正確性が世界トップクラス
フンメルスの主なポジションはこれまで述べてきた通りセンターバックです。しかし状況によっては守備的ミッドフィルダー、いわゆるアンカーのようなポジションでもプレーすることが可能です。
フンメルスのプレースタイルにおいてまず真っ先に言及しなければならないのはその「パスセンス」でしょう。
フンメルスは大柄なセンターバックとしては異例なほどハイレベルな足元のテクニックを持っており、最終ラインからパスを使ってゲームを組み立てる事が可能なプレースタイルですね。
繋ぎのショートパス、人のいない方にサイドを変える長いサイドチェンジ、強力な前線に一発で当てるロングフィード、相手が固まっている時に不意に出す鋭すぎる縦パスなどパスに関する技術とセンスがどれも非常に高く起点になることができますね。
しかもフリーキックを任されるときもあるほど右足でも左足でもアウトサイドでも正確なボールが蹴られるので状況を選ばずボールを奪ったら即座にビルドアップパスを出すことができます。
バイエルン・ミュンヘンはサイドにリベリやロッベン、最前線にレヴァンドフスキなどボールを供給すれば強力な攻撃を仕掛けられる面子が揃っているのでフンメルスのフィード能力の高さは非常に効果的です。
レヴァンドフスキのプレースタイルはこちらも参考に→ポーランド代表レヴァンドフスキのプレースタイルは?その凄さはどこにある?
またフンメルスは上記の通りパスの種類が多い選手ですが、中でも非常にセンスがあるなと感じるのが「縦パス」です。バイエルン相手だとほとんどの場合相手チームは引いてガチガチに守備を固める場合が多く、前線にスペースがないことも多いですよね。
その場合前線にいる選手が下がってきてボールを受け、相手のブロックを崩すのが一つの攻めのセオリーですがフンメルスはそういった状況で下がってきた前線の選手を広い視野ですばやく見つけ、丁度相手のブロックラインが乱れた最適なタイミングで縦パスを入れられる選手です。
そのシーンはまるで「ズバン!」と効果音が聞こえてきそうなほど鋭いですね。これもバイエルンの攻撃には大きな要素となっているでしょう。フンメルスが移籍してしまってからドルントムントの香川真司が縦にいいボールが入ってこなくて調子を崩していたのを思い出します。
今季ミランに移籍したボヌッチなどもそういうタイプですが、現代サッカーではディフェンスラインから完璧なビルドアップを求めらるので大変そうですね。笑
ボヌッチのプレースタイルはこちらを参考に→イタリア代表ボヌッチのプレースタイルは?ベップも称賛するビルドアップ!
最終ラインから持ち上がるドリブルも効果的
またフンメルスはパスセンスだけでなくドリブルで積極的に仕掛けていくシーンもすごく印象深いですね。
最終ラインの選手がドリブルなんかして大丈夫なのかと思いますが、フンメルスは元々前線でプレーしていたためかドリブル技術も高く、ほとんどボールを失いません。最終ラインにプレッシャーを掛けてくる相手アタッカーのプレスを軽くいなすのも上手いです。
こういうフンメルスのドリブルは上記の縦パスと同じく引いた相手のブロックを崩すのにとても有効ですね。センターバックであるフンメルスがドリブルで持ち上がってきたら引いている相手の選手もマークに行かざるをえず、そこから相手のブロックポジションが一人ずつ崩れていきます。
ブロック守備を崩すにはまず相手のポジションをずらすことが大切なのでそういう意味でもフンメルスのドリブルは効果的と言えますね。
高さのある守備は魅力だがスピードは・・・?
ではディフェンダーの本分である守備はどうなのでしょうか。
フンメルスは身長が191cmと高く、空中戦では言うまでもなく強いです。フィジカルやボディバランスの数値も高いですね。
インテンシティも高いですし、自分がそういう能力を持っているからか相手のパスがどこに入ってくるかを読むのも速く、相手の攻撃を早期に潰すような守備が得意ですね。ラインの統率力も高いです。
守備力も合わせて世界最高峰のディフェンダーと言っていいでしょう。
しかしそんなフンメルスにも一つだけ欠点があります。それはスピードです。
足が遅い・・・とまでは言いませんが決してスピードや俊敏性があるわけではなく快速プレーヤー相手だと分が良くありません。
バイエルンは攻撃的なチームであり、またフンメルスが統率する最終ライン設定もかなり高いためいざボールを奪われて裏のスペースに快速選手が入ってきたら追いつけないシーンも散見されます。
まあ攻撃的な攻めとラインの高さは表裏一体なので多少はしょうがないですけどね。
スピードを急に上げる事は不可能ですが、レアルのヴァランとまではいかなくとももう少し裏のスペースに抜け出された時の対処をパーフェクトに近づけたいですね。
フンメルスとは対照的にスピードが異常なヴァランのプレースタイルはこちらも参考に→フランス代表ヴァランのプレースタイルは?レアルの世界最高峰スピード系DF
もしその課題が解決されたならそのときはフンメルスが揺ぎ無き世界最高のディフェンダーを襲名することになるでしょう。
いずれにしても現状でもセンターバックでトップクラスの選手ですからもっとタイトルを積み上げる所を見ていきたいですね。
・センターバックとして世界最高レベルのパス精度
・ドリブルで相手のブロックを動かすようなプレーも得意
・高さがあってフィジカルも強いがスピードはいまいち