現代サッカーにおいてディフェンダーの前に陣取り、守備とゲームメイクにて試合を掌握する「アンカー」ポジションは年々重要性を増しています。
中盤の守備をしっかり締められるかどうかで守備はもちろんのこと、その後の攻撃のスムーズさにまで影響を及ぼす最重要と言っていいポジションですね。
数多のスーパースターを抱えるフランス代表の守備系ミッドフィルダーと言えばカンテが有名ですが、セビージャで活躍するスティーヴン・エンゾンジもアーセナルやバルセロナ、ユベントスなどが注目する大型守備的ミッドフィルダーです。
今回はそんなエンゾンジのプロフィールやプレースタイルを見ていきたいと思います。
スティーヴン・エンゾンジのプロフィール
#SevillaFC sign Steven N’Zonzi on a four-yeal deal. He will be unveiled at 18:00CET pic.twitter.com/EpW7Cx0qhC
— Sevilla FC (@SevillaFC_ENG) 2015年7月9日
名前ースティーヴン・ンケボアンサ・マイク・クリストファー・エンゾンジ(Steven N’Kemboanza Mike Christopher N’Zonzi)
国籍ーフランス、コンゴ民主共和国(代表はフランス)
出身地ーコロンブ
生年月日ー1988年12月15日
身長ー196cm
体重ー88kg
ポジションーMF
利き足ー右足
スティーヴン・エンゾンジはフランス・パリ近郊にあるコロンブという街の出身ですが、親のルーツをコンゴ民主共和国にも持っています。
アフリカ系の選手では珍しくない「N」から始まる名前であるためンゾンジやヌゾンジなどと呼ばれることもありますが便宜上この記事ではエンゾンジと表記します。
エンゾンジのサッカーキャリアのスタートはラシン・パリというクラブの下部組織からでしたが、その後PSGやカーンなど複数のフランスクラブを渡り歩いて2007年にアミアンSCにてプロデビューを果たします。
2009年にはイングランド・プレミアリーグ(当時)のブラックバーン・ローヴァーズに移籍するもチームが降格したため2012年にストーク・シティに移籍してプレー。
活躍はしていましたが、今と比べると比較的過小評価だったためビッグクラブに獲得されることはなく2015年からリーガ・エスパニョーラのセビージャに移籍しています。背番号は「15」です。
しかしではセビージャでは2017年にエンゾンジとベリッソ監督の関係が悪化、本人も移籍を表明し実際にアーセナルが獲得寸前の所まで行きましたがベリッソが解任され、新たにヴィチェンツォ・モンテッラが監督に就任したことで結果的にはセビージャ残留となりました。
またフランス代表では2017年にセビージャでの活躍が認められA代表に初招集となっています。
・フランスでデビューしイングランドへ
・イングランドではあまり評価されずセビージャへ
・フランス代表にも呼ばれ始める
スティーヴン・エンゾンジのプレースタイルは?
極めて稀な体格を持つピボーテ
エンゾンジの主なポジションはセンターハーフ、及び守備的ミッドフィルダーです。いわゆる「アンカー」や「ピボーテ」と呼ばれるポジションで起用されることが多いですね。
エンゾンジのプレースタイルで特徴的なのは「高身長を活かしたタフな守備」と「ゲームメイクパスの精度」です。
一度でもエンゾンジのプレーを見た事がある人ならすぐに分かるでしょうが、エンゾンジは身長が196cmとサッカー界の中ではトップクラスにサイズの大きな選手です。
その姿はまるでフットボールフィールドの中に一人だけNBAの選手が迷い込んだのかと錯覚させるほどですね。
もちろんその身長の数値が示すように空中戦が非常に強くほとんどのハイボールを跳ね返すことが可能です。言うまでもなくコーナーキックの際にはターゲットとなっています。
また手足も長いためディフェンダーの認知範囲外から長い足でボールを絡めとるように奪うことができ、セビージャ中盤の底を守備でガッチリと引き締められる選手ですね。エンゾンジが名前を挙げ始めた頃はアーセナルで活躍した元フランス代表パトリック・ヴィエラ2世だと言われていたのも納得の守備を見せます。
また対応も柔軟で、相手に強力なセンターフォワードがいる場合はアンカーの位置でその選手をピン留めしたり、相手が流動的な陣形で攻めてきた場合には最終ラインにドロップして疑似3バックを形成するなど頭も非常にいい選手です。
スピードの数値は決して高くないですが、本人もそれは分かっているのか守備の際はきちんと相手を前に置いて対応していますし、何より上記のように足が長いのでそれほどスピード面は問題になっていません。
デカいだけでなくゲームメイクも一流
そしてエンゾンジのプレースタイルにおけるもう一つの特徴としてパスの技術とセンスも触れないわけにはいかないでしょう。
現代サッカーにおいて守備的ミッドフィルダーによるゲームメイクは重要性を増すばかりですが、エンゾンジはここまで身長が高い選手としては珍しくボール扱いの技術にも長けており、正確なパスで試合をコントロールしていくことが可能な選手なのです。
セビージャの試合を見ているとほとんどの攻撃がこのエンゾンジを経由して進行しており、状況に応じてワンタッチでサイドにはたいたりタメを作って前線にスルーボールを通したりとまさに攻守においてチームの心臓となっています。
実際に海外のサッカーデータサイト「Who Scored」によると2016-2017シーズンのリーガにおいてエンゾンジは一試合平均79.8本ものパスを繋いでいます。
この数値はレアル・マドリード所属トニ・クロースの71.4本を上回るリーグトップのスコアです。如何にエンゾンジのテクニックとパスで繋ぐスキルが優秀かということですね。
ちなみにパス成功率も89.9%でリーガ11位という好成績です。
参照サイト:Who Scored
2017年にセビージャが来日してセレッソ大阪と親善試合を行った際にはセレッソの選手たちがこぞってエンゾンジのプレーに衝撃を受けたと話していたことも印象的です。確かにあれだけの大きな体格で適確にパスを散らせる選手は世界でも稀な存在でしょう。
しかしそんな極めて稀なクオリティを持つエンゾンジもフランスA代表には2017年が初招集となるなど常連とは言い難い状況です。
フランスには中盤の位置に世界一のボールハンターであるカンテ、万能なポグバ、馬力のあるマテュイディや若手のトリッソ、ラビオなどがおり激戦区となっているので多少は仕方ないかなと思います。
ポグバのプレースタイルはこちらも参考に→フランス代表ポグバのプレースタイルは?フィジカルと技術の両立では世界一か
マテュイディのプレースタイルはこちら→ユヴェントス移籍!フランス代表マテュイディのプレースタイルは?
トリッソのプレースタイルはこちら→フランス代表トリッソのプレースタイルは?複数ポジションをこなせるバイエルンの新星
ただそういった選手達と比べてもサイズや守備、パスを散らしてゲームをコントロールできる能力をトータルで考えるとエンゾンジが必要になる場面もあるかと思いますのでロシアワールドカップ代表に入った際は要注目ですね。
さらに本人は「プレミアが恋しい」などといった発言もしており、ビッグクラブ移籍の可能性もまだまだあります。実際噂になっていましたが、中盤の守備バランスが崩壊気味な今のアーセナルなんか最適だと思いますね。笑
ともかくエンゾンジの今後にも注目していきたいです。もっともっと評価されていい選手でしょう。
・巨人ともいうべき巨大な体躯
・サイズの割に足元も非常に器用
・セビージャの攻守を司るモンスターピボーテ