モドリッチと共にレアルマドリードの「BBC」を中盤から支えているのがドイツ代表のトニ・クロースです。
類まれなパスセンスとキック精度は間違いなく世界でもトップクラスの選手と言っていいでしょう。
またその端整な見かけによらず少し天然というか意地悪というかたまにその発言が物議を醸したりする事もある人です。
今回はそんなトニ・クロースのプロフィールやプレースタイル、エピソードを見ていきたいと思います。
トニ・クロースのプロフィール
名前ートニ・クロース(Toni Kroos)
国籍ードイツ
出身地ーグライスヴァルト
生年月日ー1990年1月4日
身長ー182cm
体重ー78kg
ポジションーMF
利き足ー右足
トニ・クロースのキャリアスタートはドイツ北部の小さな田舎町グライスヴァルトのジュニアユースチームでした。
その後、父親の仕事の都合で引っ越したハンザ・ロストックで4年を過ごしヨーロッパ中の一流スカウトが多数集まる大会にて活躍。
多くのクラブから誘いを受けますが、結局クロースは生まれた国のチャンピオンチームであるバイエルン・ミュンヘンのユースに入団する事を決めます。
当初はユースチームであるバイエルン・ミュンヘンⅡでプレーしていましたが、その才能に惚れ込んだ首脳陣によってすぐにトップチームに引き上げられ、ブンデスリーガデビューを飾る事になります。
デビュー戦では様子見のため後半の最後、わずかな時間だけの出場でしたがクロースはそこで2アシストを決める素晴らしいパフォーマンスを見せるのです。
この時クロースはまだ17歳という若さでした。
ただバイエルンは選手層が厚かったため2009年には高いレベルで実戦経験を積む目的でレヴァークーゼンにレンタル移籍。
レヴァークーゼンでもその才能を発揮して2010年にバイエルン・ミュンヘンに戻ってきます。
そして優勝した2014年ブラジルワールドカップ終了直後の7月、スペインの強豪レアル・マドリードに移籍する事になるのです。
ちなみにバイエルンとレアルの両方で欧州チャンピオンズリーグ及びFIFAクラブワールドカップを制しており、異なるチームで世界一に輝いた唯一のドイツ人選手となっています。ドイツ代表としてワールドカップも優勝している「トロフィーコレクター」な選手と言えるでしょう。
辛らつなギャグセンスを持つクロースのエピソード
ブラジルに嫌味?
クロースは日常生活でも試合中でも非常に落ち着いていて冷静な選手ですが、たまにジョークを言う事もあります。
しかしそのジョークセンスは中々辛辣で・・・よく物議を醸す事もあります。
2017年の年明け最初にクロースがインスタグラムに投稿したのはこちら。
「Feliz」とはスペイン語でハッピーの意味です。つまり「2017年明けましておめでとう」という意味なのですが・・・「17」の所がブラジルとドイツの国旗になっています。
これは・・・2014年のブラジルワールドカップのブラジル対ドイツの対戦でホームのブラジルがスコア1-7という衝撃的な負け方をしたこと揶揄しているのでしょう。
これにレアルのチームメイトでブラジル代表のマルセロが反応。「他人にはいつだって敬意を!」とクロースをチクリ。
なかなかユーモアのあるジョークだと思いますが流石にブラジル人にはキツ過ぎた冗談だったのでしょう。
ベイルにも嫌味?
EURO2016に出場したウェールズ代表のガレス・ベイルにも「君たちはどうせ3試合(グループリーグ)しかできないだろう」と言った事も明かされていますね。
確かにウェールズ代表はそれまであまり結果を残せてはいませんでしたが・・・ハッキリ言いすぎ!
ただ嫌味な性格というよりクロースはジョークがきついタイプなだけだとは思いますね。なんというか悪気なくナチュラルにそういう事を言ってしまうタイプなのでしょう。マルセロやベイルとはこの件の後も良好な関係を保っています。
トニ・クロースのプレースタイルは?
トニ・クロースのポジションはセンターハーフ、もしくはインサイドハーフが主戦場です。
バイエルン時代やレヴァークーゼン時代など元々はトップ下で頭角を現した選手ですが、バイエルン時代にセンターハーフにコンバートされてから真価を発揮し始めます。
最大の長所は機械のような「パス精度」と「中間距離での駆け引き」です。
ショートパス、ロングパス共に非常に精度が高く、一試合のパス成功率が90%を超えるのは普通ですし2016年のヴァレンシア戦ではなんとパス成功率100%を記録した事もあります。
視野も広くてサッカー脳もハイレベル。クロースのサイドチェンジや対角線に出すロングパスからBBCが決める、のパターンはレアルの主要な攻撃オプションになっています。
ドリブルでもパスモーションに入ったときでも手を比較的上に上げてパタパタしながらバランスを取るスタイルが特徴的で、あのモーションでキック精度の細かい調節をしているのでしょうね。
またクロースは適当にパスを配球するタイプではなく中盤からしっかりとした「駆け引き」を仕掛けられる選手で、相手のDFラインや守備陣形を見て相手が「こう来て欲しい」と考える逆の選択肢を適切に選べる選手でもあり、これもレアル・マドリードの強さには大きく影響している要素だと思います。
精度や堅実さ、さらに意外性も備える現代型の司令塔といったタイプですね。
ドリブルに関してはスピードがあるわけではないですが、相手の逆を取るセンスが高くテクニックもしっかりしているのでBBCを警戒して空いたDFとボランチの間をヌルヌルと上がっていく事もあります。
バイエルンにいた頃は当時所属していた宇佐美貴史選手が「紅白戦でクロースから一回もボールを奪えなかった」とも言っていますね。宇佐美選手は決して守備が得意なタイプではないですが相手の逆を行くセンスは高い選手です。その選手が全て逆を行かれたというのだから如何にクロースが上手いかということ。
唯一課題があるとすれば守備でしょうか?運動量は悪くないですがフィジカルコンタクトとインテンシティは欧州のMFトッププレーヤーの中では標準ちょっと下くらいです。レアルではカゼミロがいるから何とかなる事が多いですけどね。
カゼミロのプレースタイルはこちらも参考に→マケレレ2世?レアル所属カゼミロのプレースタイルは?守備が凄い!
いずれにしてもクロースは同僚のルカ・モドリッチと共にセンターハーフ、インサイドハーフのパサーとしては現在世界最高クラスの総合力を持っている選手だと言えます。