高卒大卒社会人ドラフト。野球におけるプロ入り時期のメリットデメリットとは?

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一般社会では高卒、大卒、中途採用など学歴や職歴によって給与や待遇に差が出てくる事が多いですよね。

しかしスポーツ界、特に野球に関してはドラフト会議の時期になると「高卒選手と大卒選手、または社会人野球選手の中でどのカテゴリーにいる選手が優秀なのか?」と毎年のように議論されます。

これは球団成績にもダイレクトに関わってくる問題ですし、なにより選手達の成長や引退後のセカンドキャリアにも関わってくる重要な問題です。

今回はそんな高卒、大卒、社会人野球選手から獲得されるタイミングにおけるメリットとデメリットを見ていきましょう。

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プロ野球ドラフト会議で高卒指名され入団した場合

高卒入団のメリット

まずは高校3年間を通して甲子園を湧かせたであろう(そうじゃない人もいますが)高卒指名入団選手から。

まず高校3年生の段階でドラフト会議に掛かるのは基本的にスーパーエリートで能力の高い選手になります。前述の甲子園大会活躍者だけでなく地方大会でしか活躍していない選手も各球団のスカウティングよって指名される事もあります。

いずれにしても高校の時から圧倒的な能力の高さを見せつけている選手となりますね。

近年ではダルビッシュ有(日本ハム指名)、田中将大(楽天指名)、大谷翔平(日本ハム指名)など高卒入団からメジャーリーガークラスも多数輩出しています。能力が高いから当然の結果と言えるでしょう。

メリットとしては若くからプロ球団の指導者、先輩によってレベルの高い教育を受けられ、厳しい対戦相手に揉まれ、大卒、社会人出身選手より年齢的に成長の猶予が与えられるため才能を伸ばしやすい環境だということが挙げられます。

また選手が自由に移籍できる「FA(フリーエージェント権)」を持つには国内FAだと8シーズン、海外FAだと9シーズン1軍登録される必要があります。

高卒だとそのFA権利の取得も比較的若いうちに可能だというのもメリットですね。

高卒入団のデメリット

高卒入団のデメリットとしては「失敗した時の立て直し」の難しさが挙げられるでしょう。

高卒入団の選手というのはそれまでの人生をほとんど野球しかせずに生きてきている選手が多いです。したがって野球が続けられくなった時の「つぶし」が効きにくいのです。

また大卒、社会人に比べて評価される期間が短い状態で入団するので球団教育の向き不向きも出やすいでしょう。

ドラフト上位指名クラスなら例え活躍できずに引退する事になっても球団職員など球団が仕事をあっせんしてくれるとは思いますが・・・下位指名で活躍できないとその後の人生が苦しくなることも多いです。

履歴書の職歴に「プロ野球選手」と書けるのは強力ですが、野球のみに明け暮れてきた選手を雇う会社が多いかどうかは未知数です。

プロ野球ドラフト会議で大卒指名され入団した場合

大卒入団のメリット

大学で野球をやり卒業する頃になればほぼ基礎身体能力や技術が固まっているので、球団側も欲しい選手を適切に指名する事ができます。高卒選手はまだ体が出来上がってない選手も多いため「伸びしろ」を予測しにくいのですね。

なので球団の育成方針が合わなかったという事は高卒より減ると思います。

そして大学野球最大のメリットと言えるのは「人脈」ができる事です。

早稲田大学や慶応大学は言わずもがな、野球に限らず大学には「OB」という派閥のようなシステムが存在します。このOBとのつながりは非常に大きく、監督業やスポーツ協会で働く時に優先的に仕事を紹介してくれる事もあるので引退後の「つぶし」が効きやすいです。

大学で様々なジャンルの勉強ができるのも引退後の野球選手にとっては大きいでしょうね。

大卒入団のデメリット

大学野球は身体能力自体は高校野球より上の環境だと言えますが・・・しかしプロ野球の環境に比べればレベルが落ちるのは間違いない所です。

有名なのは2006夏の甲子園決勝で歴史に残る投げ合いを演じ、高卒すぐにプロ入りした田中将大選手と大学進学を選んだ斎藤佑樹選手の比較でしょうか?田中選手はプロ入り直後は厳しい環境に苦しんでいましたが、揉まれる事で早期に成長し今やニューヨーク・ヤンキースの先発投手です。一方の斎藤佑樹選手は大学在学中に進化するどころかかプロ入り時には退化している始末。

この2人に関しては単純に才能の差だったかもしれませんが大学野球とプロ野球では環境の厳しさが違うのは確かです。大学の指導方針の方が伸びる選手もいますので一概には言えないですけどね。

プロ野球ドラフト会議で社会人指名され入団した場合

社会人野球から入団するメリット

社会人野球は一般的にはマイナーな存在と言えるでしょう。

しかし高校、大学でもだめだった「寄せ集め」「売れ残り」選手たちによるチームでは決してなく、都市対抗野球大会に出場するレベルの名門企業野球部にはプロで即通用する逸材がゴロゴロいます。

長く野球をやっているので選手一人一人完成度が非常に高く、大学から社会人野球に進めるのも一握り。社会人チームがプロの2軍と対戦する事もありますが、たまに勝つ事があるほどレベルが高い環境なのです。

社会人野球出身の選手としては杉内俊哉選手や長野久義選手(ともに巨人)、福留孝介選手や能見篤史選手(阪神)、金子千尋選手(オリックス)など現在の12球団スターティングメンバーを見ても活躍選手がズラリと揃っていて、即戦力が欲しい球団は社会人野球をかなり熱心にスカウティングしていますね。

加えて一応「会社員」なので職歴もつきますし、固定給ももらえるのも大きいメリットですね。

また社会人野球は高卒から大学を経ずに入部する選手も多く、高卒の場合「入部後3年」経過していればドラフトで指名される事が可能で大卒よりも早くプロに行ける可能性もあります。

社会人野球から入団するデメリット

社会人野球からプロ球団に入団するデメリットとしては「即戦力」選手でなければいけないという所でしょうか。

高卒で社会人入部の選手はまだしも社会人野球には年齢をそこそこ重ねている選手も多く、また前述のリーグレベルの高さもあって社会人からドラフトで獲得される選手には基本的に「即戦力」である事が求められます。

つまり年齢をある程度重ねている選手は「育ててもらえる時間的猶予が与えられにくい」という事。

実際社会人野球リーグでもトップ中のトップだった選手以外はあまりプロ野球で成功できていない状況があります。

社会人野球出身だとアスリートとしてのキャリアや年齢、実力などとしっかり向き合っていかないとその後の人生にも影響が及ぶ難しいカテゴリーだと言えますね。

高卒、大卒、社会人でどのタイミングがいいかは・・・

高卒でも大卒でも社会人野球からでもプロ野球選手になるにはそれぞれメリットとデメリットが存在します。

個人的には高校からトップクラスの選手であれば早めにプロとしての経験を積んだ方がいいとは思いますが・・・それはあくまで観戦している側の理屈であって選手の人生を考慮したものではありません。

選手の親からしたら安定した人生を送って欲しいと考えるのも理解できます。

結局は一般人の進学、就職時と同じようにメリット、デメリットを考慮した判断を都度しなければいけない難しい問題だと言えるでしょう。ただ選手にとっても野球界にとってもプラスになればいいなと思う次第であります。

ドラフト会議の基本的なルールについてはこちらも参考に→プロ野球ドラフト会議のルールとは?指名順はどうやって決めているのか解説