ドラフト指名を拒否した場合選手はどうなる?ペナルティなどを例と一緒に解説!

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プロ野球ドラフト会議は戦力の均衡と年棒の高騰を避けるために行われている新人選手を獲得するための制度ですが、現在は1巡目指名においては複数の球団で獲得したい選手が被ればくじ引き、2巡目以降は最下位のチームから順番に、3巡目は上位のチームから順番に指名が確定するという制度になっています。

つまり選手に行きたい球団があったとしても、くじ引きの結果や指名順番のあやによっては希望する球団に行けない可能性が高く選手側にチームを選ぶ権利はないと言ってもいい状態です。

実際に過去に何人もドラフトの指名を拒否していますよね。

では実際にドラフトの指名を拒否した場合選手はどうなるのでしょうか?何かペナルティなどはあるのでしょうか?

今回はドラフトを選手が拒否した場合どうなるかを見ていきたいと思います。

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ドラフト指名は拒否できる?実際の例も

まずプロ野球ドラフト会議は指名に成功、くじ引きに当たったとしてもあくまで「入団交渉権の獲得」に過ぎないため選手が入団を希望しなければ指名を拒否することができます。

現在は野球解説者をしている江川卓氏が阪急ブレーブスに1位指名→拒否して大学へ、福岡クラウンに1位指名→拒否してアメリカ留学→希望だった巨人入団という流浪の生活をしていたことはあまりにも有名ですよね。

他にも内海哲也がオリックスに一位指名を受けたにも関わらず巨人への入団にこだわって社会人を経由して巨人入り、長野久義も2006年に日本ハムの指名を拒否→社会人→2008年にロッテの指名を拒否→2009年のドラフトで希望だった巨人入りを果たしていますね。

また現在阪神タイガース所属の福留孝介も1995年のドラフトで7球団から1位指名され、近鉄が交渉権を獲得しますが拒否。社会人に進んで1998年のドラフトで当時あった「逆指名」という制度を利用して中日ドラゴンズに入団しています。

つまりドラフトで球団が交渉権を獲得したとしても、選手側が入団したくなければ指名を拒否して入団しないことはルール上認められています。

POINT

・ドラフト指名は拒否できる

・これまでにもドラフト指名を拒否した例は数多くある

ドラフト指名を拒否した場合はどうなる?

ドラフト拒否で社会人に進んだ場合は?

しかし指名の拒否を無条件で許していたらドラフトの意味が薄くなってしまいます。

したがってドラフト指名拒否にはペナルティとまでは言わないものの拒否した場合一定の期間ドラフト指名ができないルールも設けられています。

ドラフト指名を拒否する場合の選択肢は主に「社会人」、「進学」、「海外」の3パターンに分けられますが、まずは社会人に進んだ場合を見ていきましょう。

前述の内海哲也や長野久義の例がそうでしたが、ドラフト指名を拒否して社会人野球に進んだ場合は高卒選手だと3年間、それ以外の選手は2年間ドラフト指名ができないという期間の制限が設けられています。

ドラフト拒否で進学した場合は?

また高校生がドラフト指名を拒否して大学に進学するというのもルール上アリです。

実際に現在広島カープに所属している甲子園優勝投手である福井優也が2005年に巨人から4位指名を受けましたが、巨人が高卒まもない選手も容赦なく放出する育成方針(当時)であったことと体力問題などから指名を拒否。一浪して早稲田大学に進学し、2010年のドラフト会議で広島に指名されて入団しています。

2011年に原辰徳の甥で巨人の指名が確実視されていた菅野智之がくじ引きで交渉権を得た日本ハムの指名を拒否し、1年間東海大学に留年して翌年のドラフトで巨人に入団、という件もありましたね。

このように学校に留年という形であれば翌年のドラフト指名が可能になっています。ただし菅野もそうでしたが留年の場合、大学野球規定の選手登録期間は4年であるため対外試合に出場できないというデメリットもあります。ブランクができてしまうわけですね。

菅野智之のエピソードについてはこちらも参考に→菅野智之が嫌われているというのは本当なのか?実際の性格は?

ドラフト拒否で海外に渡った場合は?

ドラフト指名を拒否して海外に渡るというのは昔はかなりポピュラーなやり方でした。

上述の江川卓もそうですし、元巨人の元木大介も福岡ダイエーの指名を拒否して1年間ハワイに野球留学して改めて巨人に入団しています。

元木の例がそうであるように以前はドラフト拒否の海外浪人でも翌年の日本プロ野球ドラフトでは指名できたのです。

しかしその流れは2008年に変わります。

2008年に当時新日本石油に所属していた田澤純一がプロ野球の12球団に指名を回避するように手紙を提出、メジャーリーグ挑戦を表明したのです。

有力選手の国外流出に懸念を抱いたNPBは「ドラフトを拒否して海外リーグに移籍した場合、日本に復帰する際高卒選手の場合は3年間、それ以外の選手は2年間ドラフト指名ができない」という通称「田澤ルール」を設定しました。

このルールによりドラフトを拒否して海外に渡った場合、日本球界に戻ってくる際の行動に大きくリスクが掛かることになってしまいました。このルールは海外球団退団後に適用されるので日本に戻る場合2年ないし3年は日本でプレーできる可能性は非常に少なくなります。

メジャーリーグ挑戦を表明していた大谷翔平が日本ハムの説得を受けて入団を決めたのもこの「田澤ルール」が大きく影響しているでしょう。

ドラフトを受けるタイミングについてはこちらも参考に→高卒大卒社会人ドラフト。野球におけるプロ入り時期のメリットデメリットとは?

POINT

・ドラフト拒否で社会人に進むと一定期間ドラフトを受けられない

・進学は可能、ただし菅野のように留年するとブランクができる

・海外リーグに行くと「田澤ルール」が適用される

まとめ:ドラフト拒否には実質的なペナルティが存在する

紹介したように表記上「ペナルティ」という言葉は使われていませんが、ドラフト指名を拒否した場合、次のドラフトで指名できるようになるまで現状では様々な制限を受けることになってしまいます。実質的にペナルティと言ってもいいのではないでしょうか。

このドラフト時の拒否の難しさについては日本国憲法に該当する「職業選択の自由」に反するのではないか?という意見もあり現行のドラフト会議には賛否両論あるのが現実となっています。

2006年までは選手側が入団したい球団を逆指名できる希望入団枠という制度がありましたが、球団が選手に裏金を渡していた問題などが発覚し現在では廃止になっています。

ドラフト会議のルールについてはこちらも参考に→プロ野球ドラフト会議のルールとは?指名順はどうやって決めているのか解説

ドラフト会議には戦力の均衡を保つなどメリットもありますが、FA権の取得年数を縮めるなどいくつかの改革は必要かという印象です。

いずれにしても選手が不幸な思いをしないような制度になっていって欲しいと思いますね。