今季からアメリカ・メジャーリーグで、敬遠球で相手の塁を進めさせる場合わざわざ4球投げなくても審判に申告さえすれば「敬遠球」と認められる事になりました。
メジャーリーグのルールが1年遅れて導入されやすい日本でもその動向が注目されていますよね。
現状「投げない敬遠球」には賛否両論集まっています。
では敬遠球を投げずに申告制にするとどんなメリットとデメリットがあるのでしょうか?
敬遠球を申告制にすることのメリット
敬遠球とは?
敬遠球は「故意四球」とも呼ばれていて投手が投球を4つ意図的にストライクゾーンから外してフォアボールを出し、相手打者に一つ塁を進めさせるシステムのことです。
塁を進めさせることで次の打者が長打やホームランを打った時の失点リスクは高まりますが、塁を埋めてフォースアウトを取りやすくしたり、調子のいいホームランバッターとの対戦を避けることができますね。
敬遠球を申告制にするメリットはある?
この敬遠球を申告制にするメリットとしてはやはり「試合時間の短縮」が主な効果になるでしょう。
通常敬遠は最低でも4回はボール球を投げなければいけません。なのでどうせフォアボールで打者を進塁させるなら投げなくても「敬遠します」と言うだけで良いんじゃないか?時間短縮になるのでは?というのが導入したメジャーリーグ側の意見だと思います。
近年試合時間の短縮に積極的に取り組んでいるメジャーリーグで採用されたのは当然だと言えますが・・・
引用元:ベースボールチャンネル
こちらの記事を見る限り現状平均試合時間はあまり変わっていません。
そもそも敬遠をする機会なんて限られていますし、敬遠球を4回投げるなんて大した時間は掛かりません。時短目的で導入したとしたら効果は薄いと言わざるを得ないのではないでしょうか?
そして敬遠球の申告制には野球の「駆け引き」による魅力を失わせてしまうデメリットもあると考えます。
敬遠球を申告制にするデメリット
「ドラマ」、「駆け引き」の喪失
日本のプロ野球では敬遠球にまつわる様々なドラマがありました。
プロ野球で有名なのはやはり1996年に阪神タイガースに所属していた新庄剛志の敬遠球サヨナラヒットでしょうか。またあのゴジラ松井秀喜が甲子園で5打席連続敬遠されて相手の監督に非難が集まったこともあります。上原浩治選手が敬遠を指示されて悔しくて泣きながら投球したことも野球ファンの心に残っていますね。
敬遠の申告化はこういったドラマ、野球の印象的な名場面誕生の機会が失われてしまうことになります。
また投げる側の投手にとって、ベンチからの「敬遠」の指示は大変屈辱的なものです。戦術とはいえ投手にしてみたら「打たれるかもしれないから」と言われるわけですからね。
そのせいで通常緩いボールを投げる敬遠を剛速球で投げ、怒りを露わにする選手もいます。投手における敬遠とはそんな屈辱的な心理状況で投げるのでコントロールが狂ったり暴投してしまうなんてことも珍しくありません。
このように敬遠にはドラマや名場面だけでなく、選手のメンタルにも影響する戦術の駆け引きが詰まっています。
敬遠を申告制にしたことで劇的に試合時間が短縮されるのであればまだ導入の検討はしてもいいと思いますが・・・現状メジャーリーグの平均試合時間に影響はない状況です。
敬遠の申告制化は果たしてそれによって失われるドラマや駆け引きの魅力と釣り合っているでしょうか?
おそらくNPBでも議論くらいはされるでしょうが・・・どうかこれ以上野球の面白さを損なわないような判断をして欲しいですね。