野球を見ていると「グシャァ!」という鈍い音と共にバットが折れ、打球がボテボテの当たりになることがあります。
野球漫画などでも投手の球威が凄いことを表現するために投球に当てたバットが粉々に砕け散るシーンはよく挿入されますよね。
こういったイメージだけで見ると投手が剛速球によってバットを折ったかのように思えますが・・・実際の野球では100kmちょっとしか出ていない変化球でもバットが折れることは珍しくありません。
バットが折れる原因は本当に投手の球威が原因なのでしょうか?
バットが折れる原因はミート能力と球種?
球威はそこまで重要な原因ではない
木製バットという道具は160kmの剛速球だろうと100kmちょっとしか出ていないスローカーブだろうと折れる時は簡単に折れます。
大谷翔平選手のストレートでも簡単に折れますし、斎藤佑樹選手のフォークでも折れるのです。
バットが折れるシーンは漫画などでは球威がある球の象徴として描かれ、プロ野球のテレビ中継などでも「バットが折れました!今の球は球威がありましたね~。」などと解説されることもありますね。
しかしバットが折れる原因において投手の球威はそんなに関係ないと言われています。
木製バットには木目があり、その木目の強い所が真芯と呼ばれているポイントで、基本的にバットはその真芯で捉えるように作られています。ですからその芯を外れた木目の弱い部分にボールが当たる事が折れる主な原因と言われています。特に手元のグリップ付近から折れる状況が多いですね。
160kmの球でも真芯で捉えればバットに何の影響もなくスタンドまで飛んでいきますし、100km程度の緩い変化球でも芯から外れて打たされれば簡単にボキボキ折れてしまうということです。
つまりミートが下手な打者やツーシームなど芯を外せる球種を持つ投手の対戦シーンはバットが折れやすい傾向にあると言えるでしょう。
落合博満氏は「ミートが上手い奴のバットは折れない」と言っています。実際にイチロー選手なんかは滅多にバットを折りませんよね。
最近はバットが折れる事が多いが技術が低下したわけではない
最近は昔に比べてバットを折る選手が多いと言われていますが、これは打者のミート技術が昔より落ちたというわけではなく、比較的軽いバットを使う選手が増えた事とツーシームなど「芯を外す」変化球を投げる投手が増えた事に影響していると思われます。
決して今の選手のミート技術が落ちているわけではないでしょう。
いずれにしても総じて漫画のように球の威力のみでバットを折ることは現実的に滅多にないと言えるでしょう。
ただ「球威がある」という事は打者側の予測と違うポイントにバットが当たる、つまり「芯を外す」という事にもつながるので、そういった意味では「球威がある」という事実も間接的にバットが折れる原因になっている、とも言えるかもしれませんね。
バットが折れるのは打者側のミートや投手の「芯外し変化球」に関わるものなので、野球中継などでバットが折れるシーンを見た場合はその選手のミートセンスや投手の球種をリプレイで着目するとまた野球を深く楽しめるかと思います。
・バットが折れる理由は球威だけではない
・打者のミートと投手の球種が原因であることが多い
・バットが折れたときはそこに着目すると面白いかも?