W杯の出場枠が2026年大会から現行の「32」から「48」に増えることが国際サッカー連盟FIFAから発表されています。
各地域の出場枠は
アジア→4,5から8
アフリカ→5から9
ヨーロッパ→13から16
北中米カリブ海→3,5から6
南米→4,5から6
オセアニア0,5から1
引用元:ロイター 「サッカー=W杯出場権、FIFAがアジア8枠案発表」
とそれぞれ増加されます。
このW杯出場枠を巡ってはそれぞれの立場から賛否両論巻き起こっています。
出場枠の増加によって起こりうるメリットとデメリットを見ていきましょう。
ワールドカップ出場枠増加によるメリット
長期的に見れば全体レベルが上がるかも
数あるスポーツイベントの中でも最大級の規模を誇るW杯。
この大会に出場できればサッカーがそれほど盛り上がっていない地域でも関心を集める可能性が高いです。日本も1998年フランスW杯、2002年日韓W杯のときに経験していますよね。
あのくらいの年代から急速に日本サッカーは発展していきました。
やはりスポーツは競技人口が増えないことにはレベルは絶対に上がらないので、長期的に世界中でサッカー人気が上がるかもしれないということはメリットと言えるでしょう。
今まで見れなった国や選手が見れるかも
特にヨーロッパはW杯予選のレベルが高く、いい選手が揃っているチームでも本選に出られないことが多いです。2002年のときはオランダが予選で敗退していますし、レヴァンドフスキのポーランドやトルコも出られないことの方が多いです。ガレス・ベイルのいるウェールズに至っては出場したことがありません。
アジアやアフリカでも「名選手だけど代表が強くなくてW杯で見られない」選手がたくさんいます。
そういった選手や国が出場できる可能性が高まるのでサッカーファンには喜ぶ人もいるでしょう。
ワールドカップ出場枠増加によるデメリット
開催国の負担が増える
出場枠増加に伴ってグループリーグのシステムも変わり現在の4チーム8グループから3チーム16グループになります。
グループリーグでの試合は2試合に減り、決勝まで進んだ際の最大試合数は「7」になります。これは今と変わりません。なので試合出場選手の負担が増えるということはないでしょう。
しかし全体の試合数は「64」から「80」に増えます。全体の試合数が増えてしわ寄せがいくのは開催国の負担です。
W杯に使用するスタジアムには一定の基準が設けられるため開催する国は設備や施設を基準に見合うように改善、または新築する必要があります。2002年日韓大会のときも日本は札幌ドームや大分ドームなどを建設し、設備投資に追われました。さらに訪れる選手のトレーニング施設や宿泊施設にもクオリティが求められます。
出場枠が増えるわけですから当然訪れる選手、スタッフの数も増えます。日本やドイツでもきつそうだったのにさらに施設やサービスの質を上げなければならないのです。その基準で完璧に施設を整えられる国は限られてくるでしょう。
この開催国枠増加の件でFIFAが各国から責められているのはこういう事情があります。
W杯地区予選がつまらなくなる
これは特に日本人の立場だとそう思います。
日本は1998年フランスW杯以降苦しみながらも自国開催の2002大会以外、毎回予選を勝ち抜きW杯になんとか出場できています。
そしてそのW杯最終予選は「とても面白い」と思うのです。
中東の謎ジャッジやラフプレー、マリーシアだらけのアジア最終予選は決して質の高いスポーツではないです。しかし一戦一戦熱の入る極上のエンターテイメントだと感じています。
W杯は4年に一度ですが地区予選は本大会から1年も経たないうちに始まり2、3年掛けて行われます。長いとは思いますがそれによって1年中日本代表の試合が楽しめるのも事実。
親善試合ももちろん面白いのですが、やはり「W杯出場」という大義名分と負けたときの絶望感は通常の親善試合では中々味わえない楽しみがあります。
アジアの出場枠は4,5から8と倍近く増えることになるのでそうなると日本はほぼ確実にW杯本選に出場できるようになると思います。それはいいことなのですが・・・
あの最終予選に漂う独特の緊迫感と雰囲気が失われてしまうかもしれないと考えるととても寂しいです。
全ての国に都合よくは不可能
W杯出場枠増加に伴うメリットとデメリットは国や立場によって変わってくるものなので一概には言えませんし全ての国、サッカー関係者が納得するようなプランの実現は難しいと思います。
まだ細かいルールなどは決まっていませんので最終的な形はまだ見えませんが、世界最大のスポーツイベントとしての価値を失わないようにFIFAには慎重に審議を進めて欲しいですね。