日本人打者が苦戦するアメリカのツーシーム。ボールの違いが大きい?

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2017WBC準決勝、侍ジャパンは1-2で惜しくも敗戦してしまいました。敗因はいくつかありますが・・・見ていて一番思ったのがアメリカ代表投手がメインで投げる「ツーシーム」への対応ができていなかったのかな?という印象を受けました。

日本にもツーシームを投げる選手はいますが、アメリカ代表投手のツーシームは変化と重さが違い、日本の強力バッターが前に飛ばせないシーンも目立ちました。

ではツーシームとは一体どんな球なのでしょうか?日本人が投げるツーシームとアメリカ人の投げるツーシームは何が違うのでしょうか?

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アメリカのツーシームと日本のストレートの違い

日本の「ストレート」

日本で一般的に「ストレート」と呼ばれている球種は「フォーシーム」。縫い目が一回転の間に4回見えることから名付けられています。

フォーシームは正しく投げると球速が非常に出やすく、浮き上がるような軌道になることも多くて比較的コントロールも付けやすいので決め球や変化球の布石として使える状況が多い球種です。

日本のプロ野球ではこのフォーシームをメインに投球を組み立てます。

昨年日本ハムファイターズの大谷翔平選手が165kmのNPB最速球速を記録して話題になりましが、これもフォーシームボールによるものです。

ツーシーム

対してツーシームはいわゆる「直球」と呼ばれる球種の一つで、キャッチャーから見てボールが一回転する間に2回縫い目(シーム)が見えるように握る事からツーシームと呼ばれています。

ツーシームは球速自体はフォーシームに劣りますがバッターが打つ直前に微妙に落ちたり曲がったりしてバットの芯を外しやすくなるボールで、メジャーリーグの選手が好んで投げることで有名です。握り方を微妙に変えることによってスライダーやシュート、またはシンカーのように微妙に変化するのでピッチャーによって球は多種多様に動きます。

アメリカメジャーリーグで「直球」と言えば現在こちらが主流で、このツーシームを中心に組み立てるピッチャーがほとんど。

このツーシームとフォーシームはどちらが良いとは一概に言えず、バッターや状況によって使い分けるべきだと思います。シカゴ・カブスに所属する上原浩治選手はツーシームとフォーシームを状況によって使い分け、ツーシームに目が慣れたメジャーバッターを球速がそこまで速くない高めのフォーシームで三振に取る場面を多数見かけますね。もちろん低めにツーシームを決めることも多いです。

日本人打者はなぜいつもツーシームに苦戦するのか?

強烈に変化するツーシームへの経験不足

侍ジャパンは今までに行われたWBCや国際試合でもツーシームメインで投球を組み立てるメジャーのピッチャー相手に苦戦を余儀なくされています。今回のWBCでも日本ラウンドでは好調だった中田選手や筒香選手といった日本のパワーバッターがアメリカに行ったとたん沈黙し始めたのはこの動くツーシームに対応しきれなかったからでしょう。

ヤンキースに移籍したばかりの頃の松井秀喜選手もメジャー特有の芯を外すツーシームに苦戦して「ゴロキング」などと揶揄されていましたが、経験からフォームに改良を重ねて克服し、後にワールドシリーズなどで大活躍することになるのです。

結局目が慣れているかどうかが重要なので強力なツーシームを投げてくれるピッチャーとの対戦経験を増やせば日本の打者も十分に克服は可能だと思いますが・・・

変化の大きいツーシームは現状メジャーでしか体験できない

しかし日本のプロ野球では変化の大きいツーシームを体験する機会がほとんどないのです。もちろん日本人にもツーシームを投げるピッチャーはたくさんいます。ただ変化量がアメリカのピッチャーが投げるそれとは全く違います。

その最大の原因は「ボールの違い」だと言われています。

メジャーリーグで使われているボールは日本のプロ野球で使われている統一球より少し大きく、重たくて縫い目が高めに作られているため、ツーシームやカットボールなどの打者の手元で動くボールの変化が大きいそうです。

WBCにもメジャーリーグと同じボールが使われています。

確かに今回のアメリカ代表で日本戦で登板したローク投手やダイソン投手のツーシームは変化量がすごく、日本の基準で言うなら変化球といってもいいくらい動いていました。

アメリカの選手はツーシームを投げることも打つことも慣れているのでそういう意味ではやはりアメリカにホームアドバンテージがあったのは間違いない所ですね。

しかし日本人選手にツーシームが投げられないかというと決してそんなことはありません。メジャーリーグに移籍した田中将大選手や黒田博樹選手、ダルビッシュ有選手らは日本で投げていたときとは比べ物にならないくらい変化するツーシームをメジャーの試合で投げています。

以前のWBCでも当時広島カープ所属の前田健太選手がツーシームで抜群の切れ味を見せ、外国の選手を次々仕留めていたことも記憶に新しいです。それまで日本では前田選手のツーシームはそんなに変化していなく、あまり有効な球ではなかったのですがメジャーリーグのボールを使ったとたんに切れ味が増しました。

やはりボールの違いが最大の原因だと思います。

難しいけど対策したほうが・・・?

日本のボールはそんなにツーシームが変化しませんしメジャーほど有効球ではないのです。したがってWBCなどの国際大会では変化の大きいツーシームに「慣れているかどうか」で勝負が決まってしまう可能性が高くなってしまいますよね。

無理にメジャーリーグの文化に合わせる必要は全くないですが、今のままだと次にアメリカと対戦したときにまた同じ苦戦を強いられてしまうので、4年後にそうならないためにも今から何らかの対策をしておくべきではないでしょうか。