【高校野球】甲子園に球数制限を導入した場合のメリットとデメリット

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メジャーリーグでは先発投手の「球数」をある程度の所で制限するのが当たり前になっています。多くても120球前後でリリーフピッチャーに交代になります。

このアメリカの「肩と肘は消耗品」という考え方に基づく球数制限は、日本野球界、特に若年層の甲子園大会に導入するべきではないか?という議論が最近活発になっていますね。

今回はそんな先発投手の「球数制限」を高校野球、甲子園に導入した場合のメリットやデメリットを見ていきましょう。

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高校野球における球数制限を導入するメリット

肩と肘を守る

投手の肩や肘は酷使すると当然ながら壊れやすくなります。

通常100球前後は投げる先発投手は肩と肘に炎症を抱えたまま投げている選手も珍しくありません。

特に「球数」が問題に上がるのが絶対的なエースピッチャーに頼りがちな高校野球、甲子園大会です。甲子園の球数歴代1位は現日本ハムファイターズので早稲田実業の斎藤佑樹選手。延長15回引き分け再試合となった駒大苫小牧戦では178球を投げ大会通算948球を投げぬきました。13年大会、済美高校出身で現楽天ゴールデンイーグルスの安樂智大選手は1試合で232球を投げて日米のメディアで論争が起こりましたね。

先発投手は余程の事がない限り「投げたい」と言う性格を持った人が多いです。しかし甲子園大会のエースピッチャーは明らかに投げすぎです。若いうちからこんなに肩と肘を酷使していては後々の野球人生に影響を与える可能性も高いですよね。

なのでこれを球団側やリーグのルールで「○○球」までと制限する事により酷使を防いで投手の肩と肘を守るのが球数制限の第一のメリットと言えるでしょう。

投手の分業化が進む?

プロ野球では先発、中継ぎ、抑えと状況や試合展開によって投手の役割が異なる事が当たり前です。

しかし高校野球では選手一人一人の能力差が大きいため一人のエース投手に頼りがちでプロ程しっかり分業化されてないのが現状です。

球数制限を導入すれば9回を一人で投げるという状況は減り、高校野球であろうとも中継ぎや抑えにある程度特化した選手を育成する必要があります。

そうやって若い頃から役割の違いを体感する事で全体レベルの向上が見込める可能性がありますね。

高校野球に球数制限を導入するデメリット

選手層の厚い、選手集めの上手い学校が有利

高校野球に球数制限を導入することのデメリットとしては今より強豪私立校が強くなりすぎるといった点が挙げられます。

上記した通りエースが1試合を完投するという状況は減り、他の投手が登板する機会が増えます。

そうなると当然日本各地からいい選手をスカウトしてきて選手層の厚い「強豪の私立校」が圧倒的に有利になる状況が予想されます。

確かに優秀な成績を収めている学校に優秀な選手が集まるのは摂理と言えばそうなのですが・・・選手を思うように集められない公立高校はかなりの苦戦になるでしょう。

場合によっては廃部になってしまう所もあると思います。

ただでさえ野球人口が減っている昨今ですから・・・野球をやりたいと思う子供の受け入れ口を減らす事は避けたいですね。

ファウルで粘るだけの打者が増える?

球数制限がある場合、相手の先発投手に対して有効な作戦が「ファウル粘り」です。

ストライクゾーン付近に来た球にタイミングを遅らせてバットを当てる(カット打ち)ことでファウルを狙い、球数を増やして先発投手を早めに降板させるという作戦ですね。

目が良くてバットコントロールが良く、ファウルを打つことだけに集中すればこれをできる選手はたくさんいます。

強力なエースを引きずり下ろせるので戦術としては有効ですよね。しかしたまにならいいですが、ファウル狙いの選手ばかりになってしまってはテンポが悪くなり、試合が面白くなくなってしまう可能性があると言えるでしょう。

さらにメジャーリーグでたまにありますが、そういうファウル粘りをする選手への対策として「意図的にデッドボールを当てる」というプレーをする選手がいます。

塁は一つ進められるものの球数を増やさないためには有効な手段ですよね。しかしメジャーリーグでは別にいいですが・・・高校野球でそんなプレーは見たくありません。当然危険も高いです。

ファウル打ちもそうですが、「頻繁に見たくないプレー」が増える可能性がある事も球数制限を導入するデメリットの一つと言えるでしょう。

高校野球で球数制限は導入すべき?

このように甲子園における球数制限はメリット、デメリットがあり非常にデリケートな問題だと思います。

高校野球はあくまで「部活」。甲子園に出場する選手の全員がプロを目指しているとは限りません。学生時代の思い出としてみんなと一緒に勝ちたい一心で高校野球をしている選手もいます。

正直そういう人からすれば球数制限というのは迷惑な話かもしれません。大きなお世話だ、と。

個人的にはプロでも有望な選手のためには球数制限を導入すべきだと思いますが、そういった事情や公立高校野球部の厳しさ、野球部を目指す人口が減る事のリスクを考えると絶対に今すぐ球数制限を導入すべきとは言えません。

ダルビッシュ有選手がメジャーリーグの球数制限について数を制限する事よりもローテーションの登板間隔を空けるべきと主張しているように、まずは甲子園大会でも日程に余裕を持たせる工夫を試したり、タイブレーク導入や延長回の短縮など他のポイントから可能性を探していってはどうでしょうか。

タイブレークについてはこちらもご覧ください→野球におけるタイブレークのメリットとデメリットは?高校野球も導入を議論か

いずれにしてもメリットとデメリット両方をバランスよく取れるような改革を期待したいです。